Once Upon a Time in Hollywood を観る

映画を良く観るようになってからここ3・4年、念願のクエンティン・タランティーノ監督映画を

生で、実際に、映画館で、リアルタイムで、観る!!!!!!!

川崎チネチッタ、シアター12にて

特に理由もなくタイミングを逃していたタラ映画

DVDでばっかり見ていたけれども、今回初めて劇場で拝見できた

最高の映画

幸福な時間でした

1969年代ハリウッドの光と影。俳優、スタントマン。ヒッピーの終焉

タラのやりたかったこと、映画でやってやりたかったことを、ここまで「陽」方向に昇華させたのは、彼のフィルモグラフィ上、初めての試みではなかろうか

それ程あっけらかんとハッピーで素敵でナイス、観る前と後で、酒とタバコと映画をより一層愛せてしまうような、ありていに言って本当に魔法のような180分でした

俳優陣もわざわざ言う必要もないくらい名優ばかりで涙出るかとおもった

基本的な話はかなりのんべんだらりと進む

うだつの上がらなくなった名優リック・ダルトンとスタントマンの盟友クリフ・ブースの二人が、一方はヘタレで、一方はマイペースな感じに、先行きの見えない自分らの仕事と対峙しながら、なんとかやっていこうとする。そこにクリフの豪邸の隣に越してきた、花盛りの女優シャロン・テートのエピソードがクロスしながら、時折ナレーションが入ったりしつつ、物語が進行していく

いつもながらのタラ風味なのだけど、この話、歴史上ある実際の結末を知っているか否かで、見方がかなり変わってくるのである

言うまでもなく、女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)が、マンソンファミリーというヒッピーコンミューンの一派に殺害されてしまった件。この逃れようのない強大な事実に向かって結末が訪れることを予想してしまう自分としては、素晴らしい映画という触れ込みに期待しながらも、ずっと、気が気ではなかった

しかし、黙ってただのBAD ENDを展開させるタラではない。イングロリアスバスターズでも、ジャンゴでも、ヘイトフルエイトでも、彼は繰り返し作品内で仕掛けている。映画好きが創る、映画!

事実と虚構を織り交ぜ、ある種の「IF」を生み出す。勝手に本人に代わって言うなれば、「俺が観たかった世界線」の実現。そうだ、陰惨で湿っぽいだけの話にしてたまるかい。なんてメッセージがギュウギュウに詰まった見事なエンディングになっている

なるほど、このゆったりとした語り口の帰結として申し分ないのではなかろうか

何言ってんのかわかんなくなってきた。ともかくとにかくこれは必見なのです

主演その1

レオナルド・ディカプリオ演じるリック・ダルトン

もうヘタレ演技が絶品で笑えるし泣けるし

ウルフ・オブ・ウォールストリートを思い出す乱痴気感、汚れ感

なんとも憎めず愛嬌たっぷりで、スタイルいいはずなのに微妙にくったりした体つき、そして年々ジャック・ニコルソンになりつつある顔つきといい、そこらのイケメンごときには到底真似できない豊かな人物を演じきっている

そして物語全体に表裏一体の光と影があるなら

彼と対を成すのが、主演その2

ブラッド・ピット演じる、スタントマンのクリフ・ブース

超の付く華がありつつも、影のあるスタントマン。はい絶品

レオと比べてもやや粗暴なワイルド感がたまらんです。肉体ばっきばっき

一見、傍目にはリックの体のいい使いっぱしりにも見えるけれど、二人には強固な信頼関係と、無二の友情が刻まれていて、お互いビジネスパートナーである以上に、なくてはならない相互関係が成り立っている。ブロマンスとも言えるいちゃいちゃがよい

お先真っ灰(微妙に暗ではない)なリックと

超豊かでもないけどそれなりに謳歌してるクリフ

記録や記憶の上では光(リ)と影(ク)かもしれないけど、性格的には逆でもある

陽気味のスター、ディカプリオと、陰気味のスター、ブラピが演じることでより際立つ。それに、どっちかが中堅所の俳優だったら、バランスが崩れてしまう心配もある。あるいはアクションが出来る由来でディカプリオの隣にトム・クルーズが立ってしまえば、「陽」と「陽」になってしまう。YOYOつってね。それも見てみたいけど、華がありすぎる気もする。逆もしかりだ

そうだ、黄金比なのだ。これは希に見る黄金コンビの誕生誕でもあるのだ。初共演でこれってのが、もはや運命ですらあると思う

マーゴット・ロビー超絶可愛かったし、ヤンキー風味から一転、超直球で超ど真ん中の美しさが光っていた。眩しい

何人かのソックリさんも笑えるくらい似てた

でも今回抜群に推したいと思ったのは、子役のジュリア・バターズ!!!!!!

ちょっと、美しすぎるし、完成度たっか・・・!

え、神様の気まぐれ?

やばない?

見た目だけじゃない、演技もほんとに卓越していた。達者だった。いや達者すぎてオイオイという違和感も少しはあった。けれども、役柄の上でも子役ってのが違和感を消し去り、リックへナイスなアドバイスもしてしまう「賢者」ポジションもやってのけたのだから、黙って拍手するしかない

いや、あるいは、子供というフラットな存在だからこそ、無垢のまま、真実を語り、余計なことを言わず、フラットに彼に接することができたのかも

このシーン、前後のシークエンスも相まり、ストレートに泣ける。泣いた

今回はダコダ・ファニングも出演しているし、新たな世代の天才子役へバトンタッチという観点でも面白い転換点を垣間見た感じ

天使と妖精のハイブリッド。ジュリア・バターズ。注目です


僕個人の趣向として、大好きなテーマ、に通じるタラ映画の主張がある

それは「フィクションの強さ」ということ

空想だからこそ、実在の事件や歴史の汚点、過ち、失敗、悲劇、それらを、今の視点から咀嚼し直して、「こうなればよかったのに」と再構築してみせる

しかしただ溜飲を下げるだけのマスターベーションにするんではない

差別や迫害や殺人などに遭った人々への「弔い」であり

この先同じ過ちを起こしてはならないのだ、という「警鐘」または「願い」であり

また「共感」や「憧れ」や「賛歌」や「知識」として、観る者の心に強烈に植え付けるだけの価値があり

それらは「フィクション」だけが持てる力で

そんな「フィクション」によって救われる人が、大勢いるということ

「フィクション」そのものへの賛美にもつながる。これが、タラ映画の共通テーマだと思う

冒頭で「陽」方向に昇華させた言った意味はここにある

復讐もいいけど、今回は、「陰」を「陽」にしてやるぜ、そういう気概。…いや、復讐もあるかな。あるな

今作は、そんな俳優・監督・スタッフ・音楽や文化を排出するハリウッド、ひいては映画全てへ、「物作り」への最大のリスペクトと愛を、これまで以上に最大級にいっぱいに詰めこんだ、クエンティン・タランティーノからのラブレターのような映画ではないだろうか

オススメです


えんどう さすけ の 倉庫

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